とっても、可愛くて味のある北欧ビンテージ家具の代表作アーコールですが。
シンプルな構造ゆえに、年月がたつとガタつきが発生してきてしまいます。
今回は、せっかく出会えたアーコール家具と長く付き合っていただくため、自分でできる修理の仕方を紹介します!
※この記事を書いた人
・日本最大級のアンティークショップに7年勤務
・修理したアンティーク家具は10000件以上
・自宅にも多数のアンティーク、ビンテージ家具の所有歴あり
自分で家具を直すと愛着が湧くよ!
アーコールの家具は自分で修理できる?
アーコールの家具は自分で修理できます!
基本的な道具と無茶さえしなければ直すことは可能です。
アーコールを自分で直せる理由
基本的に無垢材の木を削って各パーツが作られているアーコールの家具は、構造がとってもシンプルなので自分で直すことができます。
最悪の場合、折れてしまっても適切な接着剤を塗り木材同士を接着できれば、十分な強度を出せるぐらいに治ります。
無垢材とは?
無垢材とは”無垢の木”です、簡単に言うと切っただけの木のかたまりです。
これを加工して各パーツを作ったり、集めて一枚の板にし家具にしたりします。
アーコールに使われている木材
アーコールに使われている木材はビンテージのものであれば、エルムとビーチ材が主に使われています。
それぞれ比較的加工しやすく、木自体の耐久性もあるので昔から家具には欠かせない木材です。
アーコール家具の直し方
アーコールの家具の直し方はテーブル、サイドボード、イスなど物によってさまざまです。
基本的なガタつきなどは構造や基本を理解することで応用できるので、経験と知識があればなんでも治せるようになります。
ガタつきはなぜ起きるの?
ガタつきはなぜ起こるのかというと、原因はアーコール家具を形成する木材です。
木材は呼吸しているので年月が経つと、乾燥してきます。
乾燥することで、木材が細くなります。
細くなることで、木材と木材を組み合わせて作られているアーコールの家具は部分的に動いてしまう組み合わせ箇所が出てきて、ガタつきを生み出しています。
ガタつき箇所の理解
まず、家具の修理したい箇所である、ガタついてる場所をしっかりみて場所を理解しましょう。
動かしながら家具を見ると、どこかが必要以上に動いている箇所があるはずです。
構造の理解
ガタついている場所の構造を理解しましょう。
アーコールの家具は木材のパーツ同士を組み合わせてあるだけなので、構造を理解すると簡単にバラバラにすることができます。
直し方の理解
ガタつきを起こしていた、必要以上に動いていた場所を止めてあげるとガタつきは直ります。
バラバラにした箇所に接着剤などを塗りしっかりと接着してあげることが必要です。
直し方のポイント
前述した、動いている場所に接着剤を塗り、しっかりと接着するというシンプルなことに思えますが、実はここをいかに丁寧にしっかりとできるかで仕上がりが変わってきます。
・ガタつき箇所には適正な量と種類の接着剤を塗る
・構造を理解しないで無理に解体しようとしない
・接着はしっかりと圧着する
基本的なことだけ言うとこのようなことが重要になります。
アーコール家具をバラす方法
アーコールの家具をバラす(解体する)にはネジがついているところは外し、くみわせているだけの箇所は適正な場所を適正な道具で叩いてあげることで該当箇所を外すことができます。
※全てバラバラにする必要はありません、ダメージを最小限にするため修理必要箇所のみ解体するようにしましょう。
解体する時に必要な道具
解体する時に必要な道具はアーコールの家具が基本的に構造がシンプルなので道具はたくさん必要ではありません。
基本的な道具は以下になります。
・木材を叩くハンマー
・外したい箇所を適正に叩けるガイド
・外したい箇所の隙間を作るガイド
・ネジやクギを外す道具
これだけでも十分解体作業はできますし、選ぶ道具によってはもっと少ない道具で完結できます。
解体するときの適正な叩く場所
まず、前述のように構造を理解することが重要です。
簡単にゆうと、木材がつながっているところを外したい方向に引っ張りながら叩くと外れます。
外し方のポイント
叩くとゆうことは、どこかしらに衝撃を与えます。
木材の弱いところ、構造上順番的に外れないところを叩いてしまうと破壊してしまうので、しっかり観察、理解した上で叩きましょう。
又、バラす前の状態を覚えておくために写真を撮ったり、印などをしっかりつけておきましょう。
※ビンテージ家具は前の持ち主によってネジ、クギなどで改造されていることがあります、これは接合箇所を見ると判断できますので、しっかりと観察した上で解体に挑みましょう。
アーコール家具を組み上げる方法
解体した後の各パーツに接着剤を塗り、組み上げていきましょう。
接着剤の硬化時間にもにもよりますが、慌てずに落ち着いて作業できる環境で行いましょう。
組み直す時に必要な道具
組み直す時に必要な道具は多くは必要ありませんが、適正な道具を見極めて作業を行う前に一度、頭でシュミレーションしてから行うことで不要な道具とミスを減らすことができます。
基本的に必要な道具は以下になります。
・接着剤(木工用ボンドなど)
・接着剤を塗るためのハケ、筆など
・サンドペーパー
・クランプ
・クランプと木材の間に挟む当て技や緩衝材
組み上げ作業でおすすめな道具がありますのでまとめて後述します。
組み上げる手順
組み上げる手順は以下になります。
1・各パーツについた古いボンドなどの汚れをサンドペーパーで取る
2・ハケなどで接着剤を塗る
3・解体した逆の手順で組み直していく
4・しっかりとクランプをかけて接着剤が固まるまで置いておく。
ここで解体前の印や写真がないとかなり時間がかかり、接着剤を塗った状態で間違えると外すのは大変です。
必ず解体前の情報がある状態で組み直しを開始しましょう。
接着剤の塗り方
ある程度、古いボンドや汚れをサンドペーパーで取った後、しっかりと組み上げるシュミレーションができたら、接着材を塗ります。
接着剤の塗り方は適正な量と適正な箇所に塗ることが重要になります。
用意したハケや筆などを使い、多過ぎない量をまんべんなくしっかり塗りましょう。
※いきなり全部のパーツに塗ると硬化が始まってしまうので順番通りに塗って組みあげるようにしましょう。
組み上げ方
接着剤を塗った各パーツを組み上げていきます。
組み込んだ際は、まだ叩き込んだり強く入れ込まず、仮組のような状態で大丈夫です。
元の形にある程度、戻ってからクランプをかけた時にしっかりと圧着させましょう。
クランプの掛け方
クランプのかけ方は種類によっても違うのですが、挟み込む位置はしっかりと圧着したい箇所に力が入る場所を探して圧着していきましょう。
また、変なところにかけてしまうと、割れたり曲がったりするので最初はいきなり力をかけず様子を見ながら行いましょう。
圧着が完了したら
クランプでしっかりと圧着が完了したら、接着剤がはみ出てくると思います。
この接着剤は放置すると、塗装や関係のない場所に悪影響をもたらすので拭いておきましょう。
あとは接着剤の硬化時間に合わせ、時間を置いておくのですが、大体1日おけば大丈夫です。
家具修理おすすめ道具10選
家具修理道具は星の数ほどあると言えそうなぐらいたくさんの種類があります。
ここでは実際に使用して初心者でも使いやすく、コスパのいいものを紹介します。
・エンジニア社 ネジザウルス
主に挟む、回す、切るができるコスパのいい道具です。
ネジやビス、細く突き刺さったものを外したり金物も細い物なら切断できます。
この商品の売りは、初心者がやりやすいネジを外す際に溝を壊してしまってもこれがあれば挟んで外すことができる構造になっています。
・IRWIN ワンハンドバークランプ
接着したい部分を均等に圧着しやすく、当て木など緩衝材がなくても接触部分がゴムになっているので家具を痛めにくく、滑らないのでクランプもしやすいです。
さらに、先端側の接触部分を反対向きにつけることができるので、圧着方向だけでなく拡張方向にも使用することができ、外すことができない箇所を拡張し隙間を作って接着剤を入れたりする作業もできます。
ちなみに、いろんなアンティークの工房を見学しにいきましたが、多数のアンティークショップでも使われていました。
個人的にもさまざまな木工用クランプを使いましたが、これほど使いやすいものはないと思います。
※アメリカ輸入ブランドなので品切れになることが多いです、余裕を持って購入しておきましょう。
・TONE 社 ゴムハンマー
このハンマーは木製家具を組み上げたり、解体する時に使います。
大きさも三種類から選べ、硬すぎず、柔らかすぎず、家具を傷つけないので初心者におすすめです。
・フランクリン社 タイトボンド
アメリカの定番ボンドメーカーフランクリン社の木工用に適したボンド(接着剤)です。
柔軟性を保ちつつ硬化し、固まるまでの時間や固まったときの状態、色など、全体的に扱いやすく、初心者におすすめなボンドです。
・KURE ゴリラグルー
こちらも木工用のボンドなのですが、少し中級者向けになります。
硬化した状態が硬めに仕上がり、一度硬化してしまうと修正が難しいです。
それでもとにかく接着力がつよいものが欲しい!という時や、今後外す予定がない箇所に使うのにはおすすめです。
・アルテコ社 瞬間接着剤ジェルタイプ
この接着剤はかなりの接着力を持っていますが、硬化しすぎて割れてしまうことがあるので動きのある場所には不向きです。
ですが、この硬化力を生かして穴を埋めたり、欠損部分の補修ができてしまうすごい接着剤なのですがすぐ固まり、場所を選ぶので上級者向けになります。
・E value社 スクレーパー
スクレーパーは家具を解体する時、各パーツが外れやすいように隙間を作るときに使用します。
持ち手部分が叩けるようになっており、作業しやすく、壊れにくくなっています。
・ ボンド塗布用ハケ
木工用ボンドを塗る際には手や容器の先端で塗るだけより、ハケなどでまんべんなく塗ることで仕上がりが変わってきます。
安いものでもいいので細くて隙間に塗りやすいものを使って作業しましょう。
・320番〜1000番 サンドペーパー
家具の接合部の汚れや古いボンドを落とす時に使います。
320番〜1,000番という数字はこのサンドペーパーがどれくらい削れるのか?を表します。
簡単な作業でしたら320番〜1000番のものがあれば十分ですが、上級者になって種類を増やすと塗装の剥離塗装や取手などの形成作業に使えます。
・ハワード社 オレンジオイル
普段の家具のメンテナンスにも使える家具用のオイルです。
香りもよく、塗りやすい粘度なのでベタつきも少なくおすすめです。
ボンドを拭き取る際や仕上がりに塗ってあげると家具にもよく綺麗に仕上がります。
まとめ
アーコールの家具はビンテージ家具で高級なイメージがありますが、実は初心者でも修理しやすい家具です。
アーコール家具のことをよく知ってあげて、自分で修理してあげたり、メンテナンスしてあげることで長く付き合え、愛着も湧き、一生の宝物にもなります。
もしそれでも難しそうだな、と思ったらオイルメンテナンスや解体しなくても隙間にボンドを入れてあげるだけの作業も効果はありますし、簡単なことからやってみてください。
アーコールは世界的にどんどん入手することが難しくなってきています。
運命的に出会えたアーコール家具とぜひ、しっかり関わり、末長く大事にしてあげてください!
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